指の動かし方を学習する時の
脳の経過を観察した実験があります。
手の指を
1.親指と人差し指を2回合わせる
2.親指と中指を1回合わせる
3.親指と薬指を3回合わせる
4.親指と小指を4回合わせる
といった具合に親指と他の指を決められた数だけ
合わせる運動をやっていき、
その際の脳の活動をfMRIという機械で計測して、
安静時の状態と比較する実験です。
実験の結果、
運動を始めたばかりの時は、
・運動の遂行に関連する領域 (一次運動野、小脳など)
・運動に伴う感覚に関連する領域 (体性感覚野など)
・言語活動に関連する領域
の3か所が活性化していたそうです。
ゆっくりと頭の中で、暗唱しながら指運動を行っている状態ですね。
そこから約1時間くらい練習をすると
・運動に伴う感覚に関連する領域 → 減少
・言語活動に関連する領域 → 消失
するそうです。
接触回数を暗唱しなくても出来るようになった状態で、
動きも速く、スムーズになったそうです。
さらに約2時間くらい練習した時には、
・運動に伴う感覚に関連する領域 → 消失
つまり、安静時と比較して活動が見えるのは、運動の遂行に伴う領域だけ
という結果になったそうです。
このように運動の学習の際に
初期の段階では、運動を感覚し、分析する体性感覚情報や
言語的知識による情報に頼りながら、運動のイメージを
実際の運動に変換する作業をしていたのが、
学習し、運動が習熟して記憶されることにより、
自動的に運動する事が出来るようになるという事らしいです。
なるほどぉ~と思います。
フェルデンクライス・メソッドのレッスンでは、
数を覚えるという部分はないので、
言語活動の部分の活動はほとんどないと思いますが、
このような感じで、習熟度が増していくのだろうかと思います。
なんとなく、運動中に、より感覚に注意を向けると
習熟度の高まりも早くなるのではないかとも思えますね。
また、同じ課題を
実際には動かずに頭の中だけでやった場合。
補足運動野という部分に顕著な活動がみられたそうです。
イメージで運動をするだけでも、脳の運動遂行に関する部分に
活動があるという事は、とても面白いですね。
モーシェ・フェルデンクライスは、
実際に左右片側だけで動いた後にイメージで反対側の動きをやった時に
イメージでやった側の方が変化が大きくなるといった事を度々述べています。
こういう部分もfMRIで研究出来たら面白いなと思います。
というか、ぜひやってみたい!
フェルデンクライス・メソッドの効果が、
少しずつでも学術的に証明されていくといいなぁ~と切に願いますね。