運動のコントロール

昔、こんな物語を読んだことがあります。
 
「たくさんの足を持つムカデが上手に足を動かして歩くので、
”正確にはどういう順番で足を動かして歩くのですか?”とたずねられ、
その瞬間にムカデは身動きが取れなくなってしまった。」
という話です。
 
みなさんも、
目の前にコップを取って水を飲む時、
「まずこの筋肉を動かして、
次にこの筋肉とこの筋肉のバランスを取り、
タイミングをずらして・・・・・」
 
などとは考えませんよね?
もし、考えてしまったきっと、
先のムカデと同じ運命をたどってしまう事でしょう。
 
ふつう、「コップを取る」と考えたら、
そこに手を伸ばしてつかもうとします。
それだけで、あまり難しい事は考えなくても
スムーズに手が伸びて、コップをつかみあげられると思います。
 
運動は、「おおまかに考え」 
それにもとずいて「具体的な指示を出す」
そして、「上手く実行する」
というような流れになっています。
 
実際にみなさんが、運動と言ってイメージするのは、
最後の「実行」する部分だと思います。
筋肉の動きを実感できるのはこの段階だからです。
 
運動神経に命令が行って、筋肉が収縮する。
とても単純です。
 
でも、実際には命令が来て、
筋肉がその命令に忠実に動いたとしても
体が予定通り動くとは限りません。
 
運動中に予期しない邪魔が入ったり、
筋肉が疲れていて予定通りに力が出なかった、
持った物が思いの他、重かったり軽かったり、
様々な予想外の障害が起こることが多々あるからです。
 
この様な時でも
その時その時で、目的の運動が出来るように
「反射」という仕組みがあります。
 
筋肉の中にあるセンサーが感じた情報を元に
脳から命令を出す前に反応する体の仕組みです。
 
これがあるので、予期しない事が起きても
無意識に体が対応してスムーズに動けるのです。
 
フェルデンクライスメソッドで感じる事を大事にして
体の感覚が高まると、
こういう所の体の反応はスムーズになるのではないかと思います。
 
でも、それだけでは運動の一部が改善しただけです。
 
ここまでは体の反応で、
それより前の「具体的な指示」や「大まかな考え」は、
脳が行っています。
 
ここが大事になってきます。
 
フェルデンクライスメソッドが、
脳神経系に働きかける学習法である所以は、
また次回に