フェルデンクライス・メソッドは、
学習法という立場を取っています。
体を治す、治療するのとは少し違います。
あるボディーワークでは、体を改善するために
人間が本来もっている正しい動きを導きだそうとします。
正しい動きを邪魔している、
体の緊張や体の癖を教えたり、気づかせたりしながら、
取り除いていきます。
いうなれば、「引き算」です。
邪魔なものを引いていったら、最後に正しいものが
残っていきます。
答えを教えてもらい、憶えて学ぶ
日本の教育で育った人には、
分かりやすい技法なのだと思います。
対して、フェルデンクライス・メソッドは
言うなれば、「足し算」なのだと思います。
今持っているもの、今の自分をベースに
能力を足していきます。
新しい動き方を覚える、
今出来る動きの他のバリエーションを学ぶ、
といった事を学習をしていきます。
例えば、
手をケガした時に元の状態に戻す
というのが治療だとすると
手をケガした時にケガも含めた体で
新しい動き、新しい選択肢を学習するのが、
フェルデンクライス・メソッドなのかなと思います。
指導者トレーニングの中で、
体について、
あれがダメ、これがダメと否定される事はありませんでした。
(もちろん、普段のレッスンでもしませんが)
動きが悪かったり、体が硬かったり、
または、ケガの後遺症で動かなかったり、感覚が鈍かったり、
みんな人それぞれ、自分の体の事情を持っています。
それを否定的に捉えるのではなく、
それを含めて自分であり、
それに気づき、
そこから自分を高めていく、
そんな感じでした。
つまりは、今まで積み重ねて来たものが自分であり、
無駄なものはなく
活用する方法を知らないだけなんだと思います。
後戻りして直すのではなく、
ただ、向上させていけばいいのだと思います。
今の自分を認識し、後戻りせずにそこから前に進んで行く
そこがフェルデンクライス・メソッドの良い所なのだと思います。
治療法ではなく、学習法と表現される所以ですね。