書籍紹介 ボディーワークその2
自己調整力を高めるボディワーク 身体感覚を取り戻す ハンナ・ソマティクス
平澤昌子 著
最近では、よく聞く「ソマティクス」という造語を作った、トーマス・ハンナが提唱した、ハンナソマティクス。
からだの不調の原因が、骨や筋肉の構造の問題ではなく、感覚運動機能の問題であると提唱しています。
”感覚運動機能健忘症(センサリーモーター・アムネジア)”
「感じない」、「動かない」という問題は、日々の度重なるストレスに対応するためにからだが無意識に反射を
繰り返した結果、本来の感じ方、動かし方を忘れてしまったために起きると考えたのです。
この感覚運動機能健忘症を解消するためのエクササイズが紹介されています。
基本的には、パンディクキュレーションと定義された動きをこのエクササイズで行う事により、
解消していくというものです。
パンディクキュレーション、簡単に説明してしまえば、神経反射でいう自動性抑制を使ったものですね。
筋肉は縮んだ後にゆるみやすいという特徴を意識して動く的な感じです。
一度、ワークショップを受けた事があるのですが、とにかく戻す動きをゆっくり意識して行う事を
強調していました。そうする事によって、からだがゆるんでいきます。
昔、フェルデンクライスのトレーナーに「もどす時が大事」だと言われた事を思い出しました。
動かす時ではなく、戻す時の動きを感じろという内容だったと思うので、同じような感じですね。
とても分かりやすく、読みやすい本なので、興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
ちなみに創始者のトーマス・ハンナは、フェルデンクライスメソッドのプラクティショナーでした。
初めてアメリカで開催されて、フェルデンクライスメソッドの指導者養成コース、通称サンフランシスコトレーニングの
オーガナイザーだったそうです。
そして、独自の理論を展開してオリジナルのメソッドを確立したそうです。
(もはや、フェルデンクライスあるあるの1つですね(笑))
残念ながら、ハンナ・ソマティクスを広める道半ばで、交通事故で亡くなりました。
奥様のエレノア・クリスウェル・ハンナが、意思を引き継ぎ、活動しているそうです。
エレノアさん、日本に来日された時にワークショップを受けました。
私が生まれた頃に創始されたメソッドなので、さすがにご高齢でしたが、
とても知的でチャーミングで素敵なおばあちゃんでした。